不亞幽の選択は本当に間違っていたのか?

 パズル&ドラゴンズがデュエルマスターズとコラボするということで、小学生の頃に少し遊んでいたデュエルマスターズの思い出が蘇っています。

 その中でも特に印象に強く残っているのが、漫画「デュエルマスターズ」13巻での切札勝舞vs不亞幽の一戦です。

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幽の切り札《超神龍アブゾ・ドルバ》に勝舞が苦しめられる、そのゲーム終盤、幽がシールド・トリガー《デーモン・ハンド》(相手のクリーチャーを1体破壊する)を宣言したところで「ここでお前が殺す選択を間違えれば・・・幽!お前が負けることになるぜ」と勝舞が忠告。そして幽が選択した結果、勝舞が逆転勝ちするシーンがかなり熱い!

これを読んだ後、友達と「本当に幽の選択は間違っていたのか」を議論していたのを覚えています。しかし、小学生数人の脳ミソで導き出した結論がどうなったのかまでは思い出せず、最近モヤモヤしました。そして、僕はいても立ってもいられずブ〇クオフで単行本を買ってきて、小学生だった当時と違い、今回は一人で「実際に幽の選択はどうだったのか?」を検証しました。

 

※僕は小学生の時に遊びでやっていただけでデュエルマスターズの知識が浅いため、間違いが存在するかもしれません

 

・盤面の解説

 

例の忠告のシーンがあるターンから解説します。細かい箇所までは漫画だけでは汲み取れないのですが、状況は以下のようになっていると思われます。

ターンプレイヤー:切札勝舞

切札勝舞

シールド:1枚

 

場:《バルキリー・ドラゴン》(「アーマード・ドラゴン」、Wブレイカー、パワー7000。場に出た時に「アーマード・ドラゴン」をデッキから手札に加える効果で《ボルメテウス・ホワイト・ドラゴン》をサーチしている)

 

手札:4枚

《ボルメテウス・ホワイト・ドラゴン》(7マナ、「アーマード・ドラゴン」、Wブレイカー、このクリーチャーが破壊したシールドは手札に戻らず墓地に送られる)

《コッコ・ルピア》(「ドラゴン」のマナコストを2つ減らす)

《ポッポ・チャッピー》(「アーマード・ドラゴン」が場から墓地に送られる時、代わりにこのカードを墓地に送る)

残る1枚は忠告の内容からして、おそらく《トット・ピピッチ》(「ドラゴン」は「速攻」を得る)

 

マナ:7

 

不亞幽

シールド:3枚

 

場:タップ状態の《超神龍アブゾ・ドルバ》(Tブレイカー、自分の墓地のクリーチャー1体につきパワー+2000の効果でパワー24000。パワー11000のこのクリーチャーがパワー24000になるのはおかしいのでは・・・)

 

手札:不明

 

マナ:6はあるらしい

 

ここからパワー24000の《超神龍アブゾドルバ》を倒せないと判断した勝舞は「殺られる前に殺る」というツッパプランを取り、まずは《コッコ・ルピア》(3マナ)と《ポッポ・チャッピー》(3マナ)を召喚して、《バルキリー・ドラゴン》で幽のシールドを2枚破壊。しかし、幽本人の「シールド・トリガー満載のデッキ」という豪語を裏付けるように、割れたシールド2枚の内1枚はシールド・トリガー《デーモン・ハンド》!

この時に冒頭に紹介した 「ここでお前が殺す選択を間違えれば・・・幽!お前が負けることになるぜ」が入ります。

続きを書くと、幽は《ポッポ・チャッピー》を対象にして破壊、次のターンに《恐怖の影スクリーム・アサシン》(自分の場に「ドラゴン」か「ドラゴノイド」が出ると、場にいる最もパワーの低いクリーチャーを破壊)を召喚すると勝舞のアタッカーを減らす為に《超神龍アブゾ・ドルバ》で《バルキリー・ドラゴン》を破壊。

しかし、《コッコ・ルピア》を場に残したのが仇となり《トット・ピピッチ》(3マナ)と《ボルメテウス・ホワイト・ドラゴン》(《コッコ・ルピア》でマナ数を減らして5マナ)が召喚されて速攻を得たボルメテウスでシールド・トリガーを無視してシールドを破壊、そして《コッコ・ルピア》が引導を渡す形でゲームは勝舞の勝利で終わりました。

 

補足すると、デュエルマスターズにはMTG遊戯王のように戦闘後メインやメインフェイズ2が存在しないので《バルキリー・ドラゴン》でシールドを破壊してからファイアーバード2体を場に送り込むことは出来ません。なので《デーモン・ハンド》の選択肢が3体になるのは確定となります。

 

 

・検証

この項では勝舞の場の3体のクリーチャーの中からどれか1体を破壊した時それぞれどうなるのかを検証します。また、条件として以下の3つを加えます。

 

  1. 《トット・ピピッチ》が手札に存在することは幽には知りえないので、《トット・ピピッチ》を幽は考慮しないものとする
  2. 幽はこの試合中にブロッカーを召喚していないので、それらは手札に無いものとし、またトップで引き当てる事を見据えてプレイしていないものとする
  3. カードプールは第8弾までとする(8弾までのカードしか見えてないため)

 

《コッコ・ルピア》を破壊した場合

勝舞の場にはタップ状態の《バルキリー・ドラゴン》とアンタップ状態の《ポッポ・チャッピー》になります。このままだと次の勝舞のターンに《バルキリー・ドラゴン》と《ポッポ・チャッピー》に殴り殺されてしまうので、《バルキリー・ドラゴン》を破壊するのは確定。一応、《ポッポ・チャッピー》で身代わり出来ますが、それでも《バルキリー・ドラゴン》だけでは幽のシールドの破壊とダイレクトアタックを達成することは不可能です。

また、幽は《超神龍アブゾ・ドルバ》で攻撃する前に《恐怖の影スクリーム・アサシン》を召喚しているので、勝舞が速攻持ちのクリーチャーを召喚して倒し切るか、《超神龍アブゾ・ドルバ》と《恐怖の影スクリーム・アサシン》のどれかを呪文などで破壊できなければ火・自然の勝舞のデッキにはブロッカーが入ってないので勝舞の敗北です。

(マナゾーンのカードや召喚したクリーチャーを見れば火・自然であることは幽にバレるものとします。加えて、火と自然文明にブロッカーはいません。これらは漫画の「俺のデッキは火+自然の超攻撃型ドラゴンデッキ」という台詞から予想してます。)

他にも一応、《ポッポ・チャッピー》を《バルキリー・ドラゴン》の身代わりにした場合に勝舞の場に残ったバルキリー・ドラゴン》を「ドラゴン」進化クリーチャーに進化される可能性もあります。しかし、勝舞がアブゾ・ドルバのパワーに対抗するために同じく《超神龍アブゾ・ドルバ》を召喚して幽のタップ状態の《超神龍アブゾ・ドルバ》が倒される可能性は火+自然のカードしか見てない幽視点からだととても低いと予想されますし、2回攻撃のような進化クリーチャーも8弾までのカードプールの中には存在しないようでした(間違っていたらすみません >_< )

また、漫画のように《トット・ピピッチ》と《ボルメテウス・ホワイト・ドラゴン》を場に送り込むことも叶わないですね。

 

・《ポッポ・チャッピー》を破壊した場合

実際に漫画で幽の選んだものです。勝舞の場はタップ状態の《バルキリー・ドラゴン》とアンタップ状態の《コッコ・ルピア》になります。先程と同様にまずは勝舞のアタッカーを減らす必要があるので、漫画と同様に《バルキリー・ドラゴン》を破壊します。幽の手札が《恐怖の影スクリーム・アサシン》以外は知りえないので幽が取れるプレイはこれだけだと予想されます。

《コッコ・ルピア》だけでは次のターンに手札に加えられている《ボルメテルス・ホワイト・ドラゴン》を軽量化したとしても幽を倒し切れないので、勝舞が速攻持ちかクリーチャー除去を持っていなければ、次のターンに幽はブロッカーのない勝舞を《超神龍アブゾ・ドルバ》と《恐怖の影スクリーム・アサシン》で葬ることが可能です。

 

・《バルキリー・ドラゴン》を破壊した場合

まず、勝舞は《ポッポ・チャッピー》を《バルキリー・ドラゴン》の身代わりにするかを選べます。しかし、身代わりをすると結局は次のターンに幽の《超神龍アブゾ・ドルバ》に《バルキリー・ドラゴン》が破壊されますし、そうなると《コッコ・ルピア》のみになるので、勝舞の手札が《コッコ・ルピア》さえ残っていれば十分だったとは言え、勝舞が《ポッポ・チャッピー》を身代わりをするか幽目線からだと怪しいです。

なので、《ポッポ・チャッピー》は身代わりにされずに《バルキリー・ドラゴン》は破壊されると幽目線からは予想できます。しかし、そうすると《ポッポ・チャッピー》と《コッコ・ルピア》が残ってしまうので、次のターンにシールドが1枚しかない幽は負けてしまいます。

 

 

・結論

《デーモン・ハンド》で《バルキリー・ドラゴン》を除去するのはミスで、《コッコ・ルピア》か《ポッポ・チャッピー》を除去する選択肢2つは、どちらも幽を勝ちに近づけるのに大差無いものだったと言えます。実際には漫画のように《トット・ピピッチ》が裏目になるので選択としてはミスでしたが、《ポッポ・チャッピー》破壊は「ドラゴン」進化クリーチャーを警戒していたのかもしれないですし、漫画の世界のカードプールは読者からすれば謎なので、我々からは何とも言えませんね。

(まぁ、どちらかと言えば《コッコ・ルピア》の方が怪しいので《コッコ・ルピア》を破壊しておいた方がいいと思うんですが・・・w)

 

 

・まとめ

不亜幽はあながち酷いミスをしたようじゃないみたいです。もし彼女の敗因を挙げるなら《トット・ピピッチ》を想定できなかったこと、そして何より切札勝舞が主人公だったということでしょう。

個人的にはモヤモヤが晴れたのでこれで満足です。

 

ここまで読んでいただき、ありがとうございます。